第43回

 『おりあい』


 私は目の前にある笑顔のように笑い、心は感情を知らない。
 この本性は楕円の球体である。表面はただ砕け欠けてきた。


 意識は脳にあろうと、その脳は心臓によって生きる。
 血液の流れは歯車である。私はこの一個の機械を慰める旋律であった。


 肉体は眼前の肉体に呼応するが、私は新しい束縛に悲鳴をあげる。
 その様を唇と頬がサディスティックな喜びで迎え、また心が成り下がった。