2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

第43回

『おりあい』 私は目の前にある笑顔のように笑い、心は感情を知らない。 この本性は楕円の球体である。表面はただ砕け欠けてきた。 意識は脳にあろうと、その脳は心臓によって生きる。 血液の流れは歯車である。私はこの一個の機械を慰める旋律であった。 肉…

第42回

『秋の始まり』 誰も幸せになれないとあなたは言った。酒を飲み呂律の回らない私の頭に、どこまでも何も、救いにはならないんだと呟いた。その小声が愛しく憎らしい。 一人称を変えてみた。 私は僕になり、僕は俺になり、俺はあたしになり、そして性別は消え…

第41回

『漁る盲人』 お前はこの世界を何も知らないから、 お前は世界に語りかけなければならない。 愛や、公平や、享楽という言葉の皮を被らせたまま、 単なる欲望を叩きつける猿の一人として。 お前は人間にはなれない。 人間という名義は猿を猿から区別するため…