第47回

 ドラクエ9の話。


 主人公について。


 必然性が薄いという意見があるが、それは確かにそうだ。
 個人的にはもっと師弟の絆を書いて欲しかった。
 女神の果実を集める時にちょくちょく出てくるとか。
 「敬愛する師匠が命を賭けても救いたいと思った人が間違ったことをしているので弟子の自分が止める」
という設定がうまく回ってないから、必然性も薄く感じる。


 ただ主人公として世界を救う必然性は薄いことを逆に考えられる。
 なぜならプレイヤーはゲームを遊ぶ限りにおいてゲーム世界を救う必然性が常にあるわけだけど、
ドラクエ9はそのプレイヤーの意志が直接的に世界を救っていくRPGだとも言えるからだ。


 そういう意味で「天使」というのは面白い設定だ。
 現実世界の我々はゲーム世界を神の視点に立ちつつその中で動く。
 その現実と虚構の中間にいる人間は、選ばれた「勇者」というよりも「天使」と呼ぶのがふさわしい。
 そこまで考えていたとは思わないけど、うまくゲームへの体感とマッチした設定だったと思う。