第14回

 汚れた指が線を引く。
 キメの粗いあなたの頬で、虫の歩行を奏でる。
 冬の空気に震える。
 大きく息を吐いた内臓が、アバラの中へ納まった。
 もはや身体には無駄なものが一つとしてない。
 私の脳は太陽ばかりで空を失った。
 歪んだ暴君の、
 酸の言葉を浴びた哀れな犠牲者たちが、
 生活という名の骨だけになって、
 純白をどんどんと汚していく。
 あなたに抱かれた時に、鍋底をこすった音を立てるのは嫌だ。
 理想の愛を諦めた。
 私は豚になって、新しい足で、自らの影の方向へと後退する。
 目が焼かれても構わなかった。
 現実を生きるためには
 蚯蚓でよろしいと、誰もが知っていた。


ども〜、S.Saekiです。とうとう落としちまいましたね、先週。
なんで、今回は今日と明日で二回更新します。木曜日でいいんかいって話ですね。
読んだ本なんかをまとめておきますので、また明日。